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ラッパーです。

文脈フェチズムにピカソとAVとHIPHOP

文脈を意識することでコンテンツはもっと楽しめる。

 


要するに知識はあればあるだけ「楽しい」を裏付けることができる。

 


「文脈を意識する」となると仰々しく聞こえるが

大半の人は自然とこれを行っている。

 


例えばピカソの絵なんて「よくわからん」で済ませることも可能だが

あれは「平面を立体に見せることへの挑戦」というピカソの意図を知れば

不思議と急に面白く感じれるかも。

 


それどころかほんの少しキュビズムへの理解度も増すし

絵画にも含蓄のある博識な人間だと知らしめてることもできるし

合コンで披露すれば人より少しだけ多くヘラヘラできるかもしれない。

 


文脈とはそういうものだ。

 


アダルトビデオを拝聴するとき

ソファでのインタビューから見る理由と酷似している。

どんなバックボーンであれど、

それは作品を必ず修飾してくれる。

 

 

 

ところで先日、PUNPEEのEPからs.l.a.c.kとの共作

"Wonder wall"のビデオが公開された。

 


曲の感想はさておき、あれこそ文脈を知っているとより楽しめる。

 


サビでPUNPEE

「仮に2で割って最高、そうならなくても」

と歌っているのだが

 


あれはs.l.a.c.kのHot cakeという楽曲のライン

「俺の良いとこと君の良いとこを足して2で割りゃ最高最高だと思うよ」への

PUNPEEからのアンサーだと解釈できる。

 


勿論曲名はOASISのWonder Wallから丸ごと拝借。

 


ギャラガー兄弟の関係性を知っていればもっと楽しめるし、

そもそもPUNPEEとs.l.a.c.kが兄弟であるということが今作において大元の文脈である。

 


HIPHOPとはつくづく文脈性の高い音楽。

なにせ私情を歌うのが美徳とされる文化圏なので

パーソナリティの切り売りは必須。

キャラクターまるごと作品化していく商魂こそがHIPHOPと言って過言じゃない。

そのうえサンプリングと言う名の引用文化。

引用元を知っているとアガる。ただそれだけの話。

 


KRS-ONEHIPHOPの5番目の要素はknowledge(知識)だと提唱していたが

それは上記のようなことも含まれてる、のか?

 


しかし

作品の独立性を好む人がいるのも事実。

HIPHOP、ひいては音楽に限らずとも。

 


例えば

「あ~この映画良いよね~あのシーンは○○のパロディでオマージュでリスペクトを」

と言い出されるのは確かにうざい。気持ちも分かる。

だが個人的にはそういう情報は是非に知りたいタイプだし、

というか人にこういうことを言っちゃうのは自分だ。

 


みんながみんな文脈を知りたいわけじゃない、とは思うけども

絶っ対知ってた方が面白いやろ!って気持ちは揺るがない。

 

 

 

何故そんな話をしているのかというと

先日「何フェチ?」という質問に突如相対し

思考を数秒巡らせた結果

「『あんな子が今こんなことになってる!!』っていう状況が好きっすね」と

答えて職場の人の顔を曇らせたことが起因している。

 


いわゆるギャップ萌えではない。

これは脈絡の萌えなんだ。

それを文脈フェチと名付けることにした。

 


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西通りで信号待ちをしていた夜

突如よそ見をしていた女子にぶつかられる。

女の子は尻もちをついて

「ひい!すみません!」と発して、

すぐさま友人と思わしき誰かと去っていった。

 


当たり負けのしない、立派な体になってしまった。

いつのまにか誰かを傷つけるほど太ってしまった。

 


女の子は「今日の主役」というタスキを身に着けていた。

 


主役を、太った男が、倒してしまった。

 


文脈が西通りで交差していた。