ブログに近い

ラッパーです。

ルドルフに告ぐ

高家のクリスマスイブ。

 

 

夜に兄弟それぞれが自分の名前を書いた段ボール箱を玄関前に置く。

25日の朝に見に行けば、そこにサンタさんからのプレゼントが入っているというもの。

 

今考えればこの奇妙なシステムは
サンタが兄弟3人の眠る子供部屋に夜中わざわざ忍び込む必要がなく、
またサンタの身元がバレる心配もないという非常に合理的なシステム。

 

母親の「部屋が散らかっているからサンタさんを家に上げたくない」という理由に
(確かに玄関に置いた方が先方も楽だろう)と子供心に妙に納得していた。

 

なんにせよクリスマスは一大行事。
サンタにどう伝わったのか、家族にしか話していないはずの欲しいものが
毎年キチンと段ボールの中で眠っている。

 

不思議だが、問題はない。
何せ欲求が無条件で埋められる一日。

 

故に12月というのはイイ子キャンペーン期間であり
偶像を崇拝し、徳を積むことに精を出した。

 

 

丁度20年前。


当時の話題はポケモン金銀

f:id:toddy1226:20191223163254j:plain

 

発売直後にも関わらず、
友達の何人かは既にポケモントレーナーとしての日々を謳歌しており、
ポケモントレーナーの自分はそいつらの話を目を輝かせながら聞くしかなかった。

 

どんなポケモンが出るだとか、
技を覚えただの進化しただの。
上級生の○○君はもう全クリしたらしいよだの。

 

とにかく憧れのポケモンライフ。
早く自分も誰かと通信対戦をしたいものである。

 


話は単純。サンタさんに願うほかない。

例年同様、徳を積んでポケモンを手中に入れるのだ。

 


それから、ひたすら家の手伝いに精を出した。
嫌だった剣道の練習も休まなかったし
給食のしいたけも美味しいふりして食べた。
漢字ドリルも溜め込まないし、女子に意地悪しない。

 

 

念には念を。
お釣りが来たっていいほど徳を稼いで

 

迎えた24日の夜。

 


兄弟3人は玄関前に署名した段ボールを置く。
更に自分はチラシ裏にメッセージを書いて投入。

 

ポケモンの金か銀が欲しいです。」

 

兄二人には出来ないアピール。

 

これを見ればサンタも白い布ぶくろから
ポケモンを取り出して置くだろう。

 

なんたって近隣住民のなかで一番のイイ子。
サンタさんだって真っ先にウチを目指すに違いない。

 

 

絶対、そうに違いない。

 

 


翌朝

 

メダロットが入ってた。

 

f:id:toddy1226:20191223163609j:plain

 

 

ふざけるなよ。

 

誰もやってないよ

 

誰と通信すればいい

 

2て。カブトバージョンて。

オリジナルすら知らんのに。

 

お釣りがくるほどめそめそ泣いて

少しプレイして、

やっぱりめそめそ泣いた。

 

憧れのポケモンライフとは程遠く

愛着の湧かないメカ達

 

更に納得のできないのは

兄ふたりにはそれぞれポケモン金と銀が届いたこと。

 

サンタは必ずしも要望を飲んでくれるわけではないようだ。

 

 

 

時がたち2019年。

 

 

あの時のことを考えてしまった今年。

プレゼントをあげる側の気持ちも汲んであげるべきだったと思う。

 

喜ぶだろうなって思って選んでくれたんだろう、

街にはゲーム屋さんなどなかったから

こっそり車で往復3時間かけて買い付けに行ったんだろう。

 

それを与えられて、露骨に悲しむなど、

本当に愚息で申し訳ない。

 

今や大人になって

思い通りにいかないことのほうが多いことも気づけている。

徳を積もうがキャッシュバックは来ないし

悪いことをしたって良いことはそれなりにあるし。

 

意外と何でも買えちゃうような年になっても

買わなくちゃいけないものはそんなにないから

手に入らなくたって動じない。

 

 

問題は贈り物をするときのこと。

物の価値より

相手のことを考えて品物を選んだその事実を大事にしていきたい

 

と、自分を省みて思う。

 

 

前述の兄のもとに生まれた子供

忘れていた出産祝いというものを考える。

選ぶ時間こそが大事だと

生まれたての甥に思いを馳せる

 

喜んでもらえるだろうか

 

 

f:id:toddy1226:20191224155456j:plain

 

 

サンタの二の舞か